翻訳屋の本棚から
フリーランス翻訳者の読書日記その他
案内人も迷う「迷宮」
2010.05.28 (Fri) | Category : 読んだもの
日本人の知らない日本語


日本人の知らない日本語2


書店でも平積みされてるし、あちこちで評判を聞くし、ってことで購入。
いやぁ、面白かった。
言語というヤツがある種の「迷宮」みたいなものだというのは商売柄常日頃感じていることだけど、日本語もそういう「迷宮」のひとつなんだよなぁ……。ついつい忘れがちだけど。
日本語教師はその「迷宮」の案内人、ってところか。
本書を読むと、案内人なのに外国人と一緒によく迷ってるみたいだけど(笑)。
でも、言語ってのは母語としてその言語を使っている人間にとっても外国人とは違う意味での「迷宮」。
迷いながら精進していくしかないんだよなぁ、と思った2冊。

日本人の知らない日本語2

書店でも平積みされてるし、あちこちで評判を聞くし、ってことで購入。
いやぁ、面白かった。
言語というヤツがある種の「迷宮」みたいなものだというのは商売柄常日頃感じていることだけど、日本語もそういう「迷宮」のひとつなんだよなぁ……。ついつい忘れがちだけど。
日本語教師はその「迷宮」の案内人、ってところか。
本書を読むと、案内人なのに外国人と一緒によく迷ってるみたいだけど(笑)。
でも、言語ってのは母語としてその言語を使っている人間にとっても外国人とは違う意味での「迷宮」。
迷いながら精進していくしかないんだよなぁ、と思った2冊。
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まずは背景知識から
2010.04.11 (Sun) | Category : 読んだもの
ベーシック・インカム入門 (光文社新書)


ある意味、「入門」とされているタイトルにきわめてふさわしい一冊。
この本を読むと、「ベーシック・インカム」という「思想」が、労働や賃金、その支払い手段として使われる貨幣、ひいては人の「生き方」そのものに対する考え方について、根本的な見直しを迫るものであることがよくわかる。
左からだけでなく右からもその導入が主張されているベーシック・インカム(BI)についての議論をさまざまな視点から取り上げてまとめてあり、その歴史的・理論的背景が把握できる。
おそらく、BIについて多少なりともきちんとした議論をしようとするのなら、読んでおいて損はない1冊。
小飼 弾氏が指摘するように、この本ではBIを「どのようにして」実現していくのか(つまりはその財源)、については基本的に触れていない。
その点、確かに画竜点睛を欠いている感じは否めないが、これまでの「働かざる者食うべからず」な考え方を根本からひっくり返せないまま「こうすればできるよ」っていうのを示してもうまくいかないだろう、とも思う。
「どうやって実現するか」は、この本を読んだ読者がそれぞれにさらに考えていけばいいんじゃなかろうか。

ある意味、「入門」とされているタイトルにきわめてふさわしい一冊。
この本を読むと、「ベーシック・インカム」という「思想」が、労働や賃金、その支払い手段として使われる貨幣、ひいては人の「生き方」そのものに対する考え方について、根本的な見直しを迫るものであることがよくわかる。
左からだけでなく右からもその導入が主張されているベーシック・インカム(BI)についての議論をさまざまな視点から取り上げてまとめてあり、その歴史的・理論的背景が把握できる。
おそらく、BIについて多少なりともきちんとした議論をしようとするのなら、読んでおいて損はない1冊。
小飼 弾氏が指摘するように、この本ではBIを「どのようにして」実現していくのか(つまりはその財源)、については基本的に触れていない。
その点、確かに画竜点睛を欠いている感じは否めないが、これまでの「働かざる者食うべからず」な考え方を根本からひっくり返せないまま「こうすればできるよ」っていうのを示してもうまくいかないだろう、とも思う。
「どうやって実現するか」は、この本を読んだ読者がそれぞれにさらに考えていけばいいんじゃなかろうか。
「得意にする」のは難しいが
2010.03.15 (Mon) | Category : 読んだもの
算数・数学が得意になる本 (講談社現代新書)


いわゆる理系の出身だけど、算数・数学はあまり得意でなかったワタクシ。
ついでに言うと、高校時代は英語と数学がイマイチで「理系なのにヤバいじゃん!?」と友人に言われていたっけ……(苦笑)。
はっきり言って、この本だけで算数・数学が苦手な人が「得意になる」のは難しい気がする。
新書版の情報量だと、内容をさらに肉付けして教えてくれる人がいないと「苦手な人」には厳しいですな。
ただ、読む人がそれぞれのレベルに応じて楽しめる一冊だし、お子さんに教えるときのためにアタマを整理しておく、なんて目的には結構役立つはず。
個人的には、小学生がつまづくポイントとして「『連続量』と『離散量』との混同」がある、というのは目からウロコだった。

いわゆる理系の出身だけど、算数・数学はあまり得意でなかったワタクシ。
ついでに言うと、高校時代は英語と数学がイマイチで「理系なのにヤバいじゃん!?」と友人に言われていたっけ……(苦笑)。
はっきり言って、この本だけで算数・数学が苦手な人が「得意になる」のは難しい気がする。
新書版の情報量だと、内容をさらに肉付けして教えてくれる人がいないと「苦手な人」には厳しいですな。
ただ、読む人がそれぞれのレベルに応じて楽しめる一冊だし、お子さんに教えるときのためにアタマを整理しておく、なんて目的には結構役立つはず。
個人的には、小学生がつまづくポイントとして「『連続量』と『離散量』との混同」がある、というのは目からウロコだった。
とりあえずはお気楽に
2010.02.15 (Mon) | Category : 読んだもの
志の輔・宗久 風流らくご問答 (文春文庫)


「落語とは、人間の『業』の肯定である」と言ったのは、立川談志師匠だったかそうでなかったか……。
確かに落語では人間の弱い部分を否定せず、「そういう部分は誰にでもあるよなぁ」と思わせる噺が多い。
そういうところはきわめて仏教的、と言えるかも。
本書の中では、落語のルーツのひとつとして、僧侶による法話があるのでは、ってなことも語られている。
とは言え、ネタが落語なので、肩肘張らずにまずは気楽に「落語には、こういう面もあるんだ」ってな感じで読むとよろしいのでは。

「落語とは、人間の『業』の肯定である」と言ったのは、立川談志師匠だったかそうでなかったか……。
確かに落語では人間の弱い部分を否定せず、「そういう部分は誰にでもあるよなぁ」と思わせる噺が多い。
そういうところはきわめて仏教的、と言えるかも。
本書の中では、落語のルーツのひとつとして、僧侶による法話があるのでは、ってなことも語られている。
とは言え、ネタが落語なので、肩肘張らずにまずは気楽に「落語には、こういう面もあるんだ」ってな感じで読むとよろしいのでは。
予習が必要な「入門書」
2010.02.08 (Mon) | Category : 読んだもの
〈満洲〉の歴史 (講談社現代新書)


年末年始に読もうと思ってた1冊。
清朝の時代あたりから「満洲」の歴史を説き起こすとともに、日本にとっての「満洲国」の意味をその歴史的変遷も含めてさまざまな角度から分析する良書。
ただ、新書版なので仕方ないんだけど、全体の情報量に限りがあるので歴史的背景についてある程度の知識がないと理解しにくいかも。
「満洲国」について知るための良い「入門書」ではあるんだけど、基礎的な知識について予習してから読んだ方がいい一冊ですな。

年末年始に読もうと思ってた1冊。
清朝の時代あたりから「満洲」の歴史を説き起こすとともに、日本にとっての「満洲国」の意味をその歴史的変遷も含めてさまざまな角度から分析する良書。
ただ、新書版なので仕方ないんだけど、全体の情報量に限りがあるので歴史的背景についてある程度の知識がないと理解しにくいかも。
「満洲国」について知るための良い「入門書」ではあるんだけど、基礎的な知識について予習してから読んだ方がいい一冊ですな。